日本において塗装と呼べる技術が伝来したのは、明治維新後に西洋建築が入ってきてからであり、意外と歴史は
浅いのです。
日米和親条約(1854年3月31日)が締結された建物が、最初の外壁塗装が行われた塗装建築物といわれています。
従来に日本の壁というものは基本的に土壁であり、そこに塗装をするという概念はありませんでした。
お城の城壁は白で塗装しているというイメージですが、白土を壁の上に塗った白壁塗りであり、塗装とはまた違う
ものだったのです。
日本の気候は温暖湿潤であり、昔から農家の家は床が高く風通しによい構造でした。
屋根も軒先が長く、直接雨が外壁にかからないため、外壁は藁で編んだ施工であり土壁が一番適したのです。
100年経っても家の寿命が持つという日本人の知恵が集結したとても理想的な木造軸組の工法でした。
土壁の欠点は、雨がかかると流れ出してしまうことです。
農家や地主のように大きな敷地面積に家を建てれば、軒先を長く張り出して家を建てることができます。
しかし、一般の庶民が家を持とうとすれば、小さな土地に家を建てることになります。
そうなると軒先を長くしようとすれば隣の屋根にぶつかってしまいます。
それを回避するために必然的に軒先は短くなっていきました。
すると雨が当たると流れてしまう土壁では適さなくなります。
そこで、均一の木の板材で下から板を重ねるように外壁を作っていくようになり、外壁塗装が主流となっていった
のです。